音効・栗田勇児

『アメトーーク!』や『ロンドンハーツ』で
音響効果を一手に引き受けている栗田勇児さん。
BGMや効果音など、普段あまり意識することがない
"TVの中の音"の存在意義や聞けばなるほど!な
テクニックを語っていただきました。


音づけは基本的に音効にお任せ。
音で番組を演出するクリエイターだと思ってます。

中野 現在レギュラーで担当している番組は?

栗田 『アメトーーク!』と『ロンドンハーツ』と『美しき青木・ド・ナウ』です。あとは去年まで『虎の門』もやってました。

中野 じゃあ加地くん(テレビ朝日の演出・プロデューサー)周りなんですね。

栗田 そうですね。加地さんとは『ナイナイナ』からの付き合いで。僕は『ナイナイナ』の途中から参加したんですよ。ちょうど加地さんがADからディレクターになる直前の時期で。

中野 『ナイナイナ』から一緒なのにこうしてお会いするの初めてですね(笑)この間、ひょんなことから加地くんと『ナイナイナ』の話題になって、あの頃はホント、バカな企画をやってたって。「岡村くんの勃起が止まらない回」ってやってました?

栗田 やってました(笑)。

中野 岡村くんが朝起きたら勃起してて、ピノキオの鼻みたいに、どんどんポコチンが伸びてくっていうだけの企画(笑)。最終的にものすごく長くなったポコチンで、川に流された子犬を救うっていうオチ(笑)

栗田 川にアレを振り下ろす時の風を斬る音をつけましたよ。

中野 (爆笑)!!数多いる音効さんの中でも、ポコチンが風を斬る音をつけた人っていないんじゃないですか?(笑)でも、風を斬る音があるのとないのとじゃ面白さは段違いですもんね。音効の仕事というのは編集したVTRに音をつけていくっていう認識しかないんですけど、その他はどういうことをするんですか?

栗田 ロケとか収録の時に現場で音を出しにいったり、生放送だと現場でアタック音やCMのキュー音を入れたり。ゲームコーナーがあればそのピンポン音も出します。

中野 つまりTV番組に出てくる音のすべてを全部やってるってことですね。

栗田 そうですね。収録から編集の最後まで番組作りに携わってるのって制作以外だとたぶん音効だけだと思うんですよ。でも視聴者とかはそんなに音とか気にしてないですよね。

中野 いやあ、音効さんの存在は大きいですよ。映画音楽って脚光を浴びるけど、バラエティ番組の音響効果はあまり脚光を浴びない。僕は昔から番組のBGMや効果音って大事だと思ってて、『大改造!!劇的ビフォーアフター』ではリフォームをドラマチックに見せたくて、わざわざオリジナル曲を作ってもらったんですよ。とても贅沢なことなんだけど、でも音楽で場面の起伏がついてると思うんです。栗田さんは音づけはどういう風に組み立ててるんですか?

栗田 バラエティ番組の場合は、いちばんよく見せたい場面、いちばんオトしたいオチに向かって、というようなことを考えて音をつけるようにしてます。例えば天丼(かぶせ)の笑いの時だと、同じ曲やフレーズを何度も繰り返すことで天丼をより強調するとか。テロップにビックリマークがひとつ出て、次に同じ字体でビックリマークがふたつ出たら、"コンッ"と"コンコンッ"にするとか。

中野 それはもう立派な演出ですね。しかも笑いが判ってないとできない。元々、笑いが好きだったんですか?

栗田 そう、ですねぇ。

中野 あ、そうでもない?(笑)。

栗田 そんなにバラエティとか見てなかったんで、バラエティ番組の見方を知らなくて。見る側の時はドキュメンタリーとかリアルなものが好きで、TVの音っていうのもまったく気にしたことなかったです。この仕事を始めてから、笑いにはフリとオチがある、みたいな笑いの方程式が判るようになったんですよ。

中野 ところで、VTRにBGMや効果音を入れる場合、ディレクターはどの程度、指示するんですか?

栗田 細かく指示するディレクターもいると思うんですけど、僕の場合は基本的にどこに音をつけるのか、どんな曲をつけるのか任せてもらってますね。加地さんはもう付き合いが長いんで、僕がつける音を想定して編集してますし、僕も求められているものが判っててつけてるところもあります。ずっと同じチームでやらせてもらってるんで、そういう阿吽の呼吸みたいなのはありますね。

中野 お任せでつけてるというのは知らなかったなぁ。でもその方がディレクターとしては広がりがありますよね。自分で細かく音を指定しちゃうと自分の枠から出ないから。センスが合う人にお任せするっていうのが理想ですよね。

栗田 だからけっこう駆け引きもあるんですよ。求められている音をそのままつける時もあるけど、こういうのはどう?っていう提案という感じでわざと変化球で音つけたり。

中野 一緒にモノをつくる上でそういうことって大切だと思います。提案してくれない人と一緒に仕事してても広がりがないからつまらない。僕も放送作家として選択肢を与える側だからその辺りは意識しますね。

栗田 ある時『ロンドンハーツ』のディレクターだった頼さんが「TV業界においてクリエイターっていえるのはディレクターとカメラマンと音効だと思ってるから」っ言ってくれて。嬉しかったですね。それだったら提案も常にしていかないとなって思ったんですよ。

中野 『ロンドンハーツ』で青木さやかのドッキリをやった時に全編、松田聖子の曲で構成されてたじゃないですか?とても企画や彼女のキャラクターに合ってると思ったんですけど、ああいった判断は相談して決めるんですか?

栗田 最初に、青木さやかさんの別の企画で松田聖子をかけたんですよ。その後、加地さんの方から青木さやかさんのシリーズは松田聖子でいこうってなって。青木さやかさんと僕は同じ年なんで、世代的には松田聖子かなとか、娘のさやかと青木さやかをかけたりして。

中野 さやか繋がりまでは気づかなかったなぁ!隠れたところで遊んでる感じがいいですねぇ!


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